東京・京都の次は四国へ ~ 今注目される理由と魅力

東京・京都は行った。次はどこへ?訪日外国人宿泊数が前年比81%増の四国。混雑・費用を主要都市と比較し、清流・瀬戸内海・お遍路の体験を解説。

この記事で分かること

  • 東京・京都を訪れた旅行者が四国を「次の旅先」に選ぶ理由
  • 2024年、四国の外国人宿泊者数は前年比81%増の166万人泊に急増
  • 東京・京都と四国の混雑度・費用を具体的なデータで比較
  • 清流・瀬戸内海・秘境——都市部では不可能な自然体験
  • 主要都市から四国へのアクセスとモデルプラン

なぜ今、四国が注目されているのか

東京の雑踏、京都の人混み——それらを経験したあとの「次の旅先」として、四国が急速に注目を集めている。2024年、四国4県の外国人宿泊者数は166万人泊を記録した。前年比81%増。2025年上半期もそのペースは加速し、前年同期の約1.5倍で推移している。

National Geographicは四国を「カミーノ・デ・サンティアゴの代替」として紹介し、Lonely Planetは「Best in Travel 2022」で世界の地域トップ10の第6位に選出した。国際的な旅行メディアが注目する理由は明確だ。主要都市にはない「本来の日本」がここにある。

東京・京都・大阪を訪れた外国人の多くは「日本旅行=主要都市」で完結する。しかし地方のローカル体験やエコツーリズムへの関心は年々高まっており、「観光地ではない日本」を求める旅行者が増えている。四国はその受け皿として最も適した地域の一つだ。

情報

2023年、徳島県内のお遍路歩き巡礼者の44%が外国人だった。四国八十八箇所巡礼は、スペインのサンティアゴ巡礼路と並ぶ世界的な巡礼路として認知が広がっている。

主要観光都市と四国の決定的な違い

東京・京都と四国を3つの軸で比較する。混雑度、費用、そして体験の質。数字で見ると、その差は想像以上だ。

混雑 — 京都で失われつつある静けさが四国にはある

2024年、京都市の外国人宿泊客数は821万人に達し、日本人宿泊客を上回った。秋の紅葉シーズンには日本人観光客が前年比15%減少。混雑を避けた結果だ。

エリア外国人宿泊者数(2024年)体感
京都市約821万人主要スポットで撮影待ちの行列が常態化
四国4県合計約166万人観光地で静かに過ごせる時間がある
うち香川県約90万人うどん店も美術館も待ち時間がほぼない
うち愛媛県約45万人道後温泉で地元の人と同じ湯船に浸かれる

京都市は2026年から宿泊税を最高1万円に引き上げる。オーバーツーリズム対策だが、裏を返せばそれほど混雑が深刻化している。四国にはその問題がない。観光客のために作られた景色ではなく、そこに暮らす人の日常がそのまま旅行体験になる。

費用 — 同じ予算で2倍の滞在ができる

宿泊費・食費ともに四国は主要都市の半額以下で収まることが多い。

項目東京京都四国(高松・松山)
ホテル1泊(平均)約15,000〜17,000円約20,000〜30,000円約7,000〜9,000円(要確認)
ランチ1食1,000〜1,500円1,200〜2,000円200〜500円(うどん・定食)
温泉・入浴2,000〜3,000円(スーパー銭湯)460円(道後温泉本館)

讃岐うどんのセルフ店では、かけうどん1杯が200〜300円。天ぷらを2品つけても500円以内に収まる。京都で抹茶パフェを1つ食べる金額で、四国ではうどんを3杯食べておつりがくる。

四国の自然 — 都市部では不可能な体験

四国は日本の4つの主要な島で最も小さいが、自然の密度は最も高い。山・清流・海がすべて1〜2時間圏内にある。東京や京都では絶対にできない自然体験が、四国の日常だ。

清流 — 日本で最も美しい水に触れる

四国には「日本最後の清流」四万十川と「水質日本一」仁淀川が流れている。どちらも都市化の影響をほとんど受けていない。

四万十川は全長196km。大きなダムが一つもなく、自然本来の姿が残る。増水しても流されないよう欄干を持たない「沈下橋」が架かり、その下をカヌーでくぐる。川底の石が見えるほど水が澄んでいる区間もある。

仁淀川は水質日本一を複数年連続で獲得した川だ。透明度から生まれる独特の青色は「仁淀ブルー」と呼ばれる。渓谷に差し込む光が水を青く染め、足を踏み入れると冷たさが一気に全身に伝わる。

瀬戸内海と太平洋 — 同じ島で二つの海に出会う

四国の北側は穏やかな瀬戸内海、南側は荒々しい太平洋。朝と午後で、まるで別の国にいるような海の表情に出会える。

瀬戸内海は多島美の海だ。しまなみ海道を自転車で渡ると、橋の上から小さな島々が点在する穏やかな景色が広がる。一方、高知の桂浜に立てば太平洋の水平線が視界の端から端まで続く。波の力強さと静けさの対比を1日で体験できるのは四国だけだ。

秘境 — 祖谷渓と山の懐

「日本三大秘境」の一つ、徳島県の祖谷渓(いやけい)。外国人宿泊者は10年間で34倍に増加した。

植物のツルで編まれた「かずら橋」を渡ると、足の下に渓谷が見える。橋は揺れ、足元から聞こえるのは川の音だけ。渓谷沿いには温泉もあり、山の中で湯に浸かりながら谷を見下ろす体験は、東京から数時間の場所にいるとは思えない。

ポイント

四国の自然体験は「眺める」ではなく「中に入る」。川をカヌーで下り、橋を自転車で渡り、秘境の温泉に浸かる。体を使って自然を感じることが、四国の旅の本質だ。

お遍路 — 四国だけにある巡礼の旅

四国八十八箇所を巡る「お遍路」は1,200kmの巡礼路。2024年の推計で年間5,000〜7,000人の外国人が参加し、2023年には徳島県内の歩き巡礼者の44%を外国人が占めた。

全行程を歩くには40〜60日かかる。しかし「区切り打ち」で1〜2日だけ数箇所を巡ることもできる。白衣に菅笠をかぶって歩いていると、地元の人が飲み物やお菓子を差し出す。これが「お接待」と呼ばれる四国独自の接客文化だ。

外国人巡礼者が口を揃えて語るのは「地元の人の親切さに触れた」という体験。東京の雑踏では起こりにくい、人と人の距離が近い旅がここにある。National Geographicはお遍路を「スペインのカミーノ・デ・サンティアゴの代替」として紹介している。

四国4県、それぞれの個性

4つの県で気候も文化も食も違う。北と南、東と西で表情が変わる。

香川県 — 小さな県に凝縮された瀬戸内文化

日本で最も面積が小さい県。うどん・アート・島旅が高松を起点にコンパクトにまとまる。

高松港からフェリーで直島や小豆島に渡る瀬戸内の島旅が楽しめる。直島は安藤忠雄の建築と草間彌生の屋外作品で世界的に知られ、2025年の瀬戸内国際芸術祭には108万人が来場した。栗林公園はミシュラン三ツ星の庭園で、松の手入れが行き届いた園内を歩いたあと、すぐ近くのうどん店で1杯食べる。この距離感が香川の魅力だ。

愛媛県 — 温泉と城とみかんの穏やかな県

松山を中心に、道後温泉・松山城・しまなみ海道と四国を代表する観光資源が集中する。

道後温泉本館は国の重要文化財に指定された現役の公衆浴場。夏目漱石の『坊っちゃん』の舞台としても知られる。愛媛は「かんきつ王国」でもあり、冬になるとみかんの直売所が道端に並ぶ。蛇口からみかんジュースが出る「蛇口カフェ」は、愛媛でしか体験できない。

高知県 — 太平洋に面した自然と豪快さの県

四万十川・仁淀川の清流と太平洋。自然のスケールが四国で最も大きい。

高知の人は宴席を愛する。「おきゃく」と呼ばれる宴会文化があり、ひろめ市場では見知らぬ人同士がテーブルを囲んで杯を交わす。桂浜に立てば太平洋の水平線が端から端まで広がる。幕末の志士・坂本龍馬が眺めた海を、同じ場所から見る。

徳島県 — 渦潮と秘境、四国の東の玄関口

鳴門海峡の渦潮、祖谷渓の秘境、大塚国際美術館。関西からのアクセスが最も近い県。

鳴門の渦潮は世界最大級の自然現象で、大潮の日には直径20mを超える渦が現れる。大塚国際美術館は世界の名画1,000点以上を原寸大の陶板で再現。毎年8月の阿波おどりは400年の歴史を持ち、100万人以上が4日間踊り続ける四国最大の祭りだ。

四国の季節 — いつ行っても理由がある

温暖な気候で、季節ごとに表情が変わる。

季節おすすめの体験見どころ
春(3〜5月)桜と温泉、アート島巡り高知城・松山城の桜、紫雲出山(瀬戸内海×桜の絶景)
夏(6〜8月)川遊び・祭り・サイクリング四万十川カヌー、阿波おどり(8月)、しまなみ海道
秋(9〜11月)紅葉とグルメ栗林公園の紅葉ライトアップ、祖谷渓の紅葉、新米と新酒
冬(12〜2月)温泉とみかん道後温泉、愛媛みかん狩り、冬の瀬戸内海の透明度

情報

ベストシーズンは3〜5月と10〜11月。夏は阿波おどりとしまなみ海道サイクリングが楽しめる。冬は観光客が最も少なく、道後温泉をゆっくり堪能できる。

四国の位置を示す日本地図
四国は本州の西端・中国地方の南側に位置する。大阪から約2時間、東京からは飛行機で約1時間15分。

思ったより近い — 主要都市からのアクセス

四国は遠いイメージがあるが、大阪からは約2時間で到着する。京都日帰り旅行と同じ距離感だ。

出発地行き先ルート所要時間費用目安
大阪高松新幹線+マリンライナー約2時間約6,700〜7,800円
大阪徳島高速バス約2時間40分(要確認)約3,000〜4,000円(要確認)
東京高松飛行機(羽田→高松)約1時間15分約10,000円〜
東京松山飛行機(羽田→松山)約1時間20分(要確認)約11,500円〜
岡山高松快速マリンライナー約55分約1,660円
広島今治しまなみ海道(バス)約2時間50分約3,000円(要確認)

ポイント

外国人旅行者には「ALL SHIKOKU Rail Pass」がある。四国内のJR全線と一部バスが乗り放題で、3日間・4日間・5日間・7日間から選べる。

四国内の移動とモデルプラン

四国内の移動はJR特急かレンタカーが基本。初めてなら4日間で2県、じっくり回るなら7日間で4県。

区間交通手段所要時間費用
高松→松山特急いしづち約2時間30分約3,900円〜
高松→高知特急しまんと約2時間20分約4,990円
高松→徳島特急うずしお約1時間10分約2,500円(要確認)

郊外の自然スポットはレンタカーが便利。四国の道は都市部に比べて空いており運転しやすい。1日2,200〜8,000円で借りられる。

注意

四国のバス・電車は都市部に比べて本数が少ない。特にバスは1日3〜5本の路線もある。公共交通で回る場合は事前に時刻表を確認すること。

4日間|高松起点・香川+愛媛ルート

アクセスの良い高松を起点に、瀬戸内側の2県を効率よく回るプラン。

  1. 1日目:高松着 → 讃岐うどん巡り → 栗林公園 → 高松泊
  2. 2日目:高松港 → 直島アート巡り(終日) → 高松泊
  3. 3日目:高松 → 松山(特急で約2.5時間) → 松山城道後温泉 → 松山泊
  4. 4日目:道後温泉の朝風呂 → 松山市内散策 → 帰路

7日間|四国1周ルート

4県すべてを回る。レンタカー推奨。

  1. 1日目:高松着 → 讃岐うどん巡り → 金刀比羅宮参拝 → 高松泊
  2. 2日目:高松港 → 直島 or 小豆島(終日) → 高松泊
  3. 3日目:高松 → 祖谷渓(かずら橋) → 大歩危峡 → 高知泊
  4. 4日目:桂浜 → ひろめ市場 → 四万十川方面へ移動 → 四万十泊
  5. 5日目:四万十川(カヌー or 沈下橋巡り) → 宇和島経由 → 松山泊
  6. 6日目:松山城 → 道後温泉 → 松山泊
  7. 7日目:今治タオル工場見学しまなみ海道(一部区間) → 帰路

まとめ

四国は「次の日本旅行」の答えになる場所だ。

  • 2024年の外国人宿泊者数は前年比81%増——急速に注目が集まっている
  • 主要都市の半額以下の費用で、混雑のない静かな旅ができる
  • 清流・瀬戸内海・秘境——体を使って自然の中に入る体験
  • お遍路という世界でも稀な巡礼体験
  • 大阪から約2時間、東京から飛行機で約1時間15分

各スポットの詳細ガイドは、讃岐うどん巡り道後温泉しまなみ海道サイクリング四万十川カヌー鳴門の渦潮など、それぞれの記事で紹介している。